大学生の娘さんがいらっしゃる読者さんからメールをいただきました。
娘さんのためにお仕事をがんばっているけど、キツイなぁと感じておられるようです。
「子供に経済的な苦労をさせたくない」 そう思ってがんばっていても、辛くなってしまうことは誰にでもあると思います。
同じようなことで悩んでいる方は他にもいらっしゃるはず。
ご本人に許可をいただいたので、ブログでお返事させてもらいます。
頂いたメールをご紹介します。
先生のブログに出会ったのは、娘の事が心配で、心理学的な対処をした方が良いのではと思ったのが始まりでした。
彼女には彼女の人格があるし、彼女の人生で、彼女が幸せを感じて生きてくれればと願いますが、自分を振り返ると、ちっとも幸福感がないと言う…
(娘が幸せそうじゃないと、自分の苦労が全て無駄だったように感じ、無力感にさいなまれました。)
そんな私の娘に生まれたから、彼女は悩みの中から抜け出せないのか…でも私自身、そこまで不幸だとも思っていないんです、(認めたくないだけかな…)
今は余計な口出しはせずに、彼女がどんな選択をするにしても、彼女がどんな状態になろうとも支えてあげられる親でいようと思っています。
(でもそれを少し負担にも思う私がいます。経済的にフルタイムの今の仕事を、続けるしかない。辞められないと思うからです。)
経済的な心配をしなくて良い主婦の人が羨ましい。
子育ても終わり、自分の楽しみに自由な時間とお金も使える。
恥ずかしいけれど、そんな子供じみたどうしようもない小さな自分がいます。
心理学的には、自分を労わり愛して、ほんの1分でもいいから自分の為にホッとする時間や瞬間を自分で作り、なるべく嫌な事はしないようにすればいいんでしょうけれど、嫌な事をし続けなければならないとしたら、嫌な事を嫌じゃない事にしなきゃならないんですよね。
そんな努力をず〜っとしてきたつもりなのですが、キツくなるばかりの仕事に、心が少し折れはじめちゃったのかなぁ。
GW3.5日寝て過ごしたので、今日はお片付け始めてみます。
すみません。れいこ先生からしたら、何を甘ちゃんな事言ってるんだ!レベルなんだと思います。m(_ _)m
子どもが幸せそうに見えないときは
大切な娘さんの事、親として心配な気持ちになるのは当然のことだと思います。
近い年齢の娘がいる身として、とても共感するのですが、それでも、お伝えしたい事があります。
娘さんのどんな事で悩んでおられるのかがわからないのですが、もし、同じお悩みを持つ方が私のカウンセリングにいらしたら、(緊急性はないという前提の上でですが)私はこう言うと思います。
「娘さんのことも心配ですが、まずは、ご自身の幸せについて考えてみませんか?娘さんのことはその後に取り組んだ方がスムーズだと思います。」
「娘」は母親が自分を投影しやすい相手
投影の法則をベースにお話をしていきますが、「人は鏡」の視点から考えると、目の前の娘さんはこの方の「鏡」と考えることができます。
心の中にあるものを外の世界に映し出すこと。別名「鏡の法則」。
何人かでひとつの事象を見ても、感じ方が人それぞれ違うということ。
投影の視点からみると、相手や世界は、自分の心を映すものと捉えることができる。
(「自分の中に寂しい感情があれば、他人も寂しそうに見える」など。)
特に「娘」というのは、一般的に、母親が自分の事を投影しやすい相手と言われています。
投影の法則の視点で言えることを、すごく雑に説明しますと、
「自分は幸せだと思っている人は、娘さんの事も幸せそうに見えるし、自分は不幸だと思っている人は娘さんの事も不幸そうに見える」
ということです。
鏡をふいても顔についた汚れはとれない
この話をするときにいつも使う例え話なのですが、
鏡を見て自分の顔に汚れがついていると気づいた時に、鏡を一生懸命拭いても汚れは取れませんよね。
鏡に映っている自分の顔の汚れを取ろうと思ったら、自分自身の顔をふくしかありません。
投影の観点から言えば、娘さんの悩みの対処をしても、自分が幸せじゃないと感じているうちは、娘さんの事を「幸せそう」とは思えないということになります。
つまり、娘さんの事を幸せそうだなと感じられるようになるためには、「自分は幸せだ」と感じられるようになった方が近道だよ、ということです。
人の悩みはゼロにはならない
もし、娘さんの今の悩みが解決したとして、それでOKとはいかないのが人生かなと思います。
ネガティブな感情を持たない人なんていませんし、試練や葛藤がない人生を歩む人も、ほぼいないでしょう。
未来ある娘さんには、これから先いくつもの試練・課題が待ち受けていることでしょう。
ということは、今の問題がなくなったとしても、娘さんは、いつかまた、悩み始める時がくるわけです。
そして、試練があるから不幸、というわけでもないと私は思うのです。
(でないと、人類ほぼ全員が不幸という事になりますから。)
「青春だなー」って捉えることもできます。放置しておけという意味ではなくて、その方が、落ち着いた気持ちで適切なサポートができるのではないかなと思うのです。
※もし、いじめなどの深刻な状況であるとしたら、話は別。その場合は親が介入したほうがいいです。
子どもの幸せを思えばこそ、今すぐできること
仕事はどんな感じですか?
いただいた文章から「お仕事、かなりキツイみたいだなぁ・・・」と感じました。
「経済的な心配をしなくて良い主婦の人が羨ましい。」
私も昔は、毎日のようにそう考えていました。
フルタイムだという事は1日8時間、週5日以上を「キツい・(辞めたいけど)辞められない」と思っている環境に身を置いているという事ですよね。
それはかなりハードな生活だと思います。
娘さんを支えるためには、お金も大事ですが、気力体力にも余裕があった方が良いと思うのです。
これから書くことは、何度かメールのやり取りをしていて、「〇〇さんなら受け止めてくださるだろう」と判断して書かせてもらうのですが…。
もし「娘さんのため」という理由で、辞めたいと思っている環境に居続けるというのであれば…。
それは、「自己犠牲モード」ではないでしょうか。
自己犠牲モードで働くことが、本当に娘さんのためになるのかと言えば、そうではないと私は思います。
母親が自分のために辛い思いをしながら働いているという現実は、もし私が娘さんの立場だったら、たとえ経済的に苦労がなくても、辛いと感じるだろうなと思うのです。
「お仕事を辞めた方がいいのではないですか?」と言いたいわけではないんです。
もしかしたら最終的にはそういう選択をしなくてはいけなくなるかもしれませんが、まずは、今の仕事の問題を解決していくことを考えてみるのもいいんじゃないかなと思いました。
ご主人との関係はどうですか?
もうひとつ気になったのは、ご主人のことです。
このメールをいただく前にも何度かメールのやりとりをさせてもらいましたが、ご主人のことが一切書かれていなかったのが気になりました。
LINEのメッセージを読むまでシングルマザーなのかな、と思っていたぐらいです。
照れもあるのか、パートナーとの関係は日本では軽く見られがちですが、とても大切です。
今のお辛い状況の事を、ご主人はちゃんと聞いてくれているのでしょうか。
「夫は自分の気持ちを分かってくれている」と感じられるでしょうか。
もしそうでないなら、幸せへの近道はご主人との関係にカギがあるかもしれません。
解決すべきは娘のことではなく…
家族みんなが笑顔でいられるためには、家族の中に誰も「自己犠牲モード」の人がいないことが大切だと私は思います。
娘さんの心配事はいったん脇に置いて、ご自身の仕事と、パートナーシップについて、考えることが解決の第一歩になると私は思います。