「トラウマは存在しない説」が役立つ人と害になる人

一時期流行った「アドラー心理学」

アドラー心理学について書かれている本「嫌われる勇気」は、今でもベストセラーだそうです。

私も、「嫌われる勇気」と、続編の「幸せになる勇気」の両方を読みました。

アドラー流のカウンセラーでない私がアドラーを語ってしまうのは申し訳ない気もするのですが、私は、「アドラー心理学」の教えには「半分賛成で、半分反対」と思っている人間です。

アドラーの教えで「賛成だ」と思う事のひとつに、本のタイトルにもある「嫌われる勇気」があります。

「誰かに嫌われてしまう自分」にOKを出すと、本当に人生ラクだな、と思います。

この考えはぜひ、広まって欲しいと思います。

それに対し、賛同できないと思っている部分が

「トラウマは存在しない」

という意見です。

アドラーがトラウマに関してどう言っているのかというと

『あなたが過去の出来事を自分の今の状況と関連があるように考えているだけだ』

なのだそうです。

(※後から知ったのですが、アドラー本人が「トラウマは存在しない」と言っていたわけではないらしいですね。『嫌われる勇気』で、そう書かれてあるだけで。)

受け止めようによっては

「トラウマうんぬん言ってるのは、自分が行動できない言い訳だよね」

と言ってるように感じます。

私は、これは、とても乱暴な意見だなと思うのです。

確かに、「トラウマなどというものは幻想だ」というのは一理あるのです。

「自分の受け止め方次第だ」と聞いて、気持ちが自由になり、吹っ切れる人がいるからです。

ですが、「心の傷からくる反応」の大半は、自分の意思ではコントロールできないものです。

「トラウマは存在しない」と言われ、ラクになる人がいる一方で、苦しみが増し、自己嫌悪が強くなってしまい、余計に生きづらさやトラウマ反応が悪化してしまう人もいます。

「トラウマは存在しない説」が、害になる人も、大勢いるのです。

「トラウマが存在しない説」を取り入れた方が良い人と、無視した方が良い人の違いについて、私はこう考えています。

  • 他人責めが強い人は「トラウマは存在しない説」を取り入れてみる
  • 自分責めが強い人は「トラウマは存在しない説」を無視する

(めちゃくちゃざっくりした説明ですが。)

私個人としては、正直、私のクライアントさんや、ブログ読者さんには、
「トラウマは存在しない説」は無視して欲しいと、思っています。

私が日々関わらせていただいている人は、ほとんどの人が「自分責めの強い人」です。

他人や社会を責めるより、自分を責めていた方がラクだと感じる人たちばかりです。

こういう方が、「過去の心の傷を気の持ちようだと思い込む」のは、とても危険だと思うのです。

自分責めに偏りがちな人は、「状況は気の持ちようでなんとかなる」と思う前にまず、「自己憐憫」の時期を過ごす必要があると、私は考えます。

心の整理もついていないまま「気の持ちようでなんとかなる」と、むりやり行動して、うまくいかず、悪循環にハマってしまい、燃え尽きてしまう人の、なんと多いことか。

まずは、エネルギー補給が大事です。

肩の力を抜くことが大切です。

自分を労わることが重要なのです。

「人は本来、前に進みたい生き物。成長したい欲求を持っている」と言われています。

この視点から考えれば、気力体力が充実しているのに、前を向きたくない人など、いないはずなのです。

前を向けないのだとしたら、心や身体が疲れているからであって、その人が怠惰だからでも弱虫だからでもないのです。

しっかり自分を労わり、心も身体も休養がとれたら、「やる気」は勝手に湧いてくるものです。

「モチベーションを上げるテクニック」とか、「気合い」に頼らなくても、ポジティブになれるものです。

「勇気が必要な事」も「怖いけど、チャレンジしてみようか…!」という気持ちに自然となれるものなのです。

そうでない場合は、自分を労わる時期・休養が必要な時期、体調を整えた方がいい時期です。

もし、「もう十分休養してるんだけど、なかなか前向きになれないなぁ」という場合は、「休養の方法」を少し変えてみた方がいいかもしれません。

私のカウンセリングでは、「がんばりたいのにがんばれない…」と悩む方に向けて、「まずはこれだけやればOK」のような、「がんばりポイントの絞り方」をお伝えしています。

「十分休養したのに、前向きになれない」とお悩みの方は、ぜひお話しましょう。

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