どうしても関係を断てない……。「仕方なく」親と関わり続けているあなたへ
親との関係にモヤモヤしながらも、
「助けてもらってるし…」と、距離を取れずに我慢していること、ありませんか?
本当はしんどいのに、うまく笑って受け流す。
心のどこかで、ため息をつきながら…それでも関わりを続けている。
そんなとき、どうすればいいのでしょう。
「どうしても関係を断てない親との接し方」に悩む方から、切実なメッセージをいただきました。
いただいたメッセージをご紹介します。
初めまして。いつも参考にさせていただいてます。
大人になっても心理的虐待ってあるのでしょうか?また、ある場合どのような心持ちで両親と接すれば良いでしょうか?
父は私が未成年の時は門限を1分でも破ったり、父の気に入らない態度があるとかなりの頻度で食卓をひっくり返され、怒鳴られ、拾え、食え、と言われ食べたりしたことが何度もあります。
その時の私の態度がさらに気に入らないと殴る、蹴る、投げられる、馬乗りになってずっとビンタというのが続く…という負のスパイラルでした。
ですが私が35歳になった今は、昔のことなど無かったかのように友達のように接してきて、自分にとって嫌なことがあるとすぐに電話をしてきます。
また、自分の好きな風俗の話や、好きな女の子の話(母とは離婚していませんが)や、母との夜の話や愚痴などを平気で話してきます。
私の子供の面倒をみてもらうことが多いので、揉め事を起こしたくなく今は適当に相槌を打ってやりすごしている毎日です。
母は、影では毎日父の悪口を言いますが実際にはそんな父を止めることなく、父が暴れている時も父の味方でした。
母は、昔は父と同じく手が出ていましたが、今は手は出ないものの私が子育て以外の時間を持つこと(仕事やスポーツや友人と出かける等)を一切良く思わず、昔も今もけなされる毎日です。
毎日すごく辛いです。平日は、私の仕事の終了時間の都合で保育園後2時間ほど孫の面倒をみてもらっているので関係は切れないと思うのですが、どう接していいのか分からない時が度々あります。
どういう心持ちでこれからも接していけば良いのでしょうか。
成人した子供相手でも、虐待と言えます。
「立派な虐待だ」と、私は思います。虐待であり、性暴力と言ってもいい。
親と性的な話をするのが平気な人だったら、虐待じゃなくなるのかもしれませんが…私はムリです。娘の「そういう話」も、深刻な悩み以外は友達としてくれって思っちゃう。
いや、私の話はどうでもいいですね。すみません。
質問者さんが、「聞いてられない」「つらい」と思うなら、立派な虐待。質問者さんの感じる「つらい」は、正当な感情です。
お母さんについても、子どもが自立していくことを素直に受け止められず、昔と同じようにコントロールしようとするのは、健全な親子関係とは思えません。
とはいえ、それをご両親に訴えたところで、状況は変わらないでしょう。親が変わることは、絶対無理とは言いませんが、極めて可能性が低いと思います。
では、そんな親と、どう距離をとりながら関わっていけばいいのでしょうか。
自分を傷つける親と、どう付き合えばいいのか
本当は関わるのがしんどい。父親の話に付き合わされるのはうんざりだ。
でも、自分が親に歯向かえば、子どもに辛く当たられてしまうかもしれない。
「親に子どもを預けているから、自分が我慢するしかない」と、苦痛に耐えていませんか。
でも、本当に我慢するしかないのでしょうか。
虐待を受けて育った人は「自分には困難を乗り越える力なんてない」と思い込んでしまいやすいものです。
あなたが今、「親とは距離をとれない。我慢するしかない」と思っているのは、育った過程で作られた「無力感」のせいかもしれないのです。
もしご両親が、娘に不適切な関わりをしている自覚がない場合、その関わり方が、孫であるお子さんにも向けられてしまう可能性があります。
本当にこのままお子さんを預け続けていいのか、改めて考えてみるのもいいかもしれません。
親と距離を取れなくても、自分を守るためにできること
もちろん、「絶対に親と距離をとるべき」とすすめているわけではありません。 改めて考えた結果、さまざまな事情をふまえて「今の生活を続ける」と選ぶことも、ひとつの立派な選択です。
その際に大切なのは、自分の気持ちをないがしろにしないことです。
たとえ関係を続けるとしても、自分をまるで親のサンドバッグのように扱うことだけはやめてほしいのです。
「話を聞けという父親に、NOを突きつけなさい」ということではありません。
表向きの対応は、今、質問者さんがしていることで全く問題ないです。
勝手に言わせておいて構いませんが、その言葉を「心では」受け取らないようにしてほしいのです。
「右から左へ受け流す~~」ってやつです。
…と言っても、気合や根性で「平気だと思い込みましょう」というわけじゃないです。 それは、自分イジメでしかないので、絶対にやらないでください。
「本当はイヤだった」「傷ついた」
そんな気持ちを感じないようにするのではなく、相手に訴えるわけでもなく。
ひとりの時間を作って、丁寧にケアしてあげて欲しいです。
そしてできれば、関係を維持しながらでもできる小さな工夫や心理的な境界線を作っていくといいです。
たとえば──
- 親の言葉に反応しすぎないよう、心の中で「それは違う」と唱えてみる。
- あとでモヤモヤをノートに書き出して、自分の味方になる。
- 「ありがとう」と口で言いながらも、心の中では自分の価値観を譲らない。
このように、「親と距離を取れないから、自分を押し殺す」のではなく、 「距離を取れなくても、自分を大切にする」という視点を持つことが、心の消耗を減らしてくれます。
心理的距離を作るのが難しいと感じたら
「それは分かってるんだよなぁ……。波風立てずにやり過ごすことが苦痛なんだが」
もしかして今、そう思いましたか?
もしそうなら、
「親に対する子どもとしての想い・望みを手放すプロセス」に取り組むといいかもしれません。
質問者さんの心の中にはずっと、親に正しさを主張したい気持ちがあるはずです。
「普通はこうでしょ」
「娘には、親の性的な話を控えるべき」
このようなマイルールがあり、それに反している親に対して不快感を抱いているので、それを手放す心理療法をおススメしたいです。
もちろん、そのマイルールは多くの人が持っている自然なものです。「あなたの考え方がおかしい」と言いたいわけではないので、誤解しないでくださいね。
全然おかしくはないんだけども、それを手放すと、楽になれるんです。
カウンセリングの現場では、自分の望む親でないことを悲観する気持ちを、「期待 ・ 未練(=隠れた依存心)」と捉えて、ケアしていきます。
心の傷が癒えていないとき、人は傷を与えた相手に対して「攻撃」という姿の依存心を抱いてしまうことがあります。その気持ちがあることで、ストレスを抱えてしまうのです。
親への期待・未練は、心の傷を癒していくことで、ちゃんと手放せます。
心の傷が癒えて、親への未練がなくなると、
不適切な言動を目にしても、「私には関係のない事」と思えるようになります。