今回は、アダルトチルドレンに関わらず、親子関係でストレスとなりやすい「自分のやる事に、いちいちケチをつけてくる親」との関わり方について取り上げます。
先日インスタグラムで「愛と共感は別。共感は愛がない人の方が上手」という話をしました。
上記リールで、私は「親の愛だけは受け取って、言ってることは拒否すればいい」と言いました。
そして「愛だけ受け取るって、どういうことなのか、かみ砕いて教えてほしいです」とコメントをいただいたのです。
このご質問、親との関係にモヤモヤを抱えている方にとっては、 まさに「それが知りたかった!」というテーマなのではないでしょうか。
今回は、実際に質問をくれた方のエピソードもご紹介しながら、 「愛だけ受け取る」ってどういうことなのか、 一緒に考えてみたいと思います。
質問をくださった方の親御さんは、こんな方だそうです。
どんな親か…というと、母の口ぐせは「大丈夫なの?しっかりしなさいよ」で、心配することが愛だと信じている感じです。
父は高圧的、絶対自分は正しいと思い込んでいます。
私は1年前にシフォンケーキを作って販売することをはじめたのですが、それを両親に伝えたところ、母は「大丈夫なの〜、そんなこと」と苦い顔、父は「それは失敗するね」と得意顔。
それでも今では、ちょいちょい売れ残りを買っていってくれます。 両親に会うと自動的に嫌な気持ちが出てくるので、今は必要最低限だけの関わりです。
心配という名の過干渉をしてくる親の元育つと、どんどん無力感が強くなってしまい、自信が育ちにくいです。
うちの母も似たタイプなので、お気持ちすごく共感しました。
話は少しそれますが、心理分析的にみて、お父さんが「自分は正しいと思い込んでいる」かどうかは怪しいところです。
今回のテーマとはそれるので、ここでは省略しますが「高圧的な人の心理」は、知っておくと質問者さんが楽になるので、この機会に、そのあたりを調べてみるのも良いかもしれません。
やることなすこと親に否定される悲しみ
このエピソードを読んで、私と同様「わかる…」と感じた方も多いのではないでしょうか。
自分が思いきって始めたことに対して、 親からの返事が「心配」や「否定」だったとき、 まるで自分の存在そのものを否定されたような気持ちになったりしませんか。
親はたぶん、悪気があったわけじゃない。 でも、「それ失敗するね」と笑ったり、 「そんなこと大丈夫なの〜?」と眉をひそめるような反応は、 やっぱり傷つきますよね。
責めたい気持ちの奥にあったもの
この方の本音は書かれていないので、推測はできませんが、多くの場合こういうとき
「心配ばかりして、親は本来、ここで応援するものじゃないの!?」と感じてしまうものではないでしょうか。
私自身、同じような状況にいたとき、 心の奥に「親を責めたい」という気持ちを持っていました。
「どうしてわかってくれないの?」
「どうして応援してくれないの?」
そんな思いを抱えていたんです。
もし、質問者さんにも、当時の私と同じような思いがあるとしたら……。
これは自分自身にも向けている言葉ですが、その点に関して私たちは「依存的になっている」と言わざるを得ません。
「親はこうであってほしい」という期待を持ち続けることは、 親に対して「自分の理想通りにあってほしい」という期待を手放せていないということだからです。
そしてその前提がある限り、 現実の親の言動に何度も傷ついたり、失望したりすることになります。
つまり、自分の感情の舵を、無意識のうちに親に委ねてしまっている状態。 これは、心理的な意味での“依存”だと考えざるを得ないのです。
「分かってもらえなかった」「受け入れてもらえなかった」と感じたときに、その依存心が、 私たちを苦しめることになってしまうのですね。
なので、楽になるためにはこの依存心を手放していく必要があるんです。
それができるようになると、 「わかってもらえないこと」に、 心をかき乱されなくなります。
悲しみや寂しさはゼロにはならないけれど、 「もうあの手の愛し方しかできない人なんだな」と受け止められる。
私はそれが、「愛だけ受け取るための第一歩」だったように思います。
「愛だけ受け取る」って、どういうこと?
いただいたご質問に話を戻します。
『“愛だけ受け取る”って、どういうことなのか、かみ砕いて教えてほしいです』
今回のケースでいうと、「言ってることは不快だけど、私を心配して言ってくれてるのは、愛情なんだな」と、現実を捉える事です。
そのとき、親の発言は自分にとって不快だと認めつつ、親に批判的な気持ちを向けることはしない…ということです。
それが難しいと思う人には、下記エピソードがピンときやすいかもしれません。
いらないけど、嬉しい。 ー “ドロ団子”のたとえ
私の中で、“愛だけ受け取る”というのは、 ままごとの「ドロ団子」をもらう場面に似ているなと感じています。
たとえば小さな子が、 「はい、チョコレート❤」と、公園の土を丸めて作ったドロ団子を満面の笑みで持ってきてくれたとします。
正直なところ、ドロ団子は……いらないですよね(笑)。
でも、「あなたを喜ばせたい」というその子の「気持ち」はちゃんと伝わってくるし、 その気持ちは素直に嬉しいと感じられるものです。
ですから「ゴミをくれるなんてひどい!こんなのいらない!!」 と腹を立てたりはしないはずです。
かといって、ドロ団子を食べたりもしませんよね。
「ありがとうね」と言って、気持ちだけ受け取る。 モノまでは抱え込まない。
親の言葉や態度も、それと同じなんです。
モノは受け取らないけど、大切に思ってくれてる気持ちは受け取るんです。
自分を守りながら、愛を受け取る
親の言葉の中には、しんどいものもたくさんある。 だけど、「想ってくれた気持ち」だけは、そっと受け取る。(「認める」って言った方が、しっくりくるかもしれません)
気持ちは受け取るけども、その言葉に従うことはしない。親の言葉に関係なく、自分のやりたい事をするし、自分の人生を歩む。
それが、「愛だけ受け取る」ということだと私は思っています。
「ありがとう」と「でもそれには従わない」を、 両立させられると、 少しずつ、親との関わり方が楽になっていきます。
「どうしても手放せない」と思ったら
親との関係を、頭では割り切ろうとしても、気持ちがついていかないときってありますよね。
愛だけ受け取る」が難しいと感じるときは、子どもの頃の心の傷が癒えていないのが原因で、親への期待や未練が残っている可能性が高いです。
そんなときこそ、心理療法が有効です。
心の傷を癒し、親への未練を手放すプロセスをふむことで、